ミネラル学を応用したカルシウムとマグネシウムを中心にしたものに、これらに付随する微量ミネラルとともに、葉緑素系の天然原料から製造された医薬品の三点セットを土台として、アトピー性皮膚炎などのⅠ型アレルギーやⅣ型アレルギーの「共通性」をカバーする。
これが自然療法の基本です。
(但し1割弱の人には無効であり、むしろ不要である場合もあるので決して完璧なものではありませんが、この場合でも下記の一般漢方処方の運用のみで十分解決できます。)
漢方方剤としては、当然のことながら弁証論治に基づく適切な方剤を運用しなければなりません。

村田漢方堂薬局では、世間一般でしばしば使用される十味敗毒散(じゅうみはいどくさん)、温清飲(うんせいいん)や消風散(しょうふうさん)などを使用することはありません。 漢方入門当初の10年間に、これらの方剤で却って憎悪させてしまった苦い経験をもっており、羹に懲りて膾を吹くの喩え通り、懲り懲りしています。
アトピー性皮膚炎は、とてもデリケートな皮膚病ですから、多少とも悪化させる危険性のある方剤は、とてもじゃないが使用する気になれないわけです。
ここ十年間近く、上記の葉緑素系の医薬品を主体にした自然療法によって体質改善が比較的順調に行われる場合がとても多いので、
軽症の場合には急がば回れでこれらの基本だけで様子を見てもらうことさえあるほどです。
しかしながら、実際には様々な治療方法を試みて治癒しなかった人達の場合は、弁証論治にもとづいた適切な漢方薬方剤を併用してもらうことになります。近年の明らかな傾向として、滋陰利水系の方剤、つまり保湿と利水という一見相反する性質を併せ持つ漢方処方が適応するケースが多いように思われます。
どんなに遠方であっても、必ず一度は来局して頂いて、綿密・詳細な漢方相談にもとづいて適切な方剤を提案するわけですが、強いて具体的な方剤を 列挙するとすれば、補中益気丸(人参の代わりに党参を使用)・六味丸系列の各種製剤・猪苓湯・茵蔯蒿湯・黄連解毒湯・辛夷清肺湯・玉屏風散・参苓白朮散など、単味の生薬製剤としては地竜(ミミズ)・薏苡仁などが挙げられます。
これらの数種類組み合わせて用いるだけでなく、極めてデリケートなアトピー性皮膚炎の性質上、配合比率においても細心の注意を払い、臨機応変に配合変化を行います。
これらの方剤のうち、とても重要になる六味丸系列の製剤およびとりわけ問題の多い猪苓湯製剤について、少し注釈を加えておきます。
六味丸系列の製剤については、基本の六味丸を使用する場合でも、煎液の濃縮したエキス剤を使用する場合と、本来の煎じずに粉末とした原料を利用した製剤にするか、
あるいはエキスと粉末が混合された折衷的な製剤にするかによって、意味合いが異なる場合があり、この辺についても綿密な適応の配慮は欠かせません。
更には六味丸系列の方剤として、麦味腎気丸製剤という肺腎陰虚に適応する方剤、杞菊地黄丸製剤(これにもエキスと粉末の両製剤がある)という肝腎陰虚に適応する方剤、 さらには知柏腎気丸製剤という陰虚火旺に適応する製剤など、かなり綿密な配慮が必要なときも珍しくありません。
また、猪苓湯製剤については、配合薬物中の阿膠の配合方法による各メーカー間の違いや、製造方法の違い、原料生薬の品質問題等により、
長年の経験から、実際的な効果・効能においてもっとも優劣の激しい現象を数多く経験しています。⇒参考文献
この文献中の特に重要な個所を次に加筆修正して引用しておきます。
たとえば、これは既に十年くらい前に「和漢薬」誌などにも発表したことだが、顔面に生じた慢性の皮膚疾患に、医師の出された医療用の猪苓湯と茵蔯五苓散の配合で全く無効であったものが、 市販されているエキス量二分の一の猪苓湯エキス製剤と粉末が混合された茵蔯五苓散の併用によって比較的速やかな効果を示した例など、患者さん御本人と、主治医に薬剤師2名によって、何度も確認したものである。
さらに最近しばしば遭遇することだが、複数の女性が医療用の猪苓湯エキスを出され、小生から見ても適切な投与であると思われるのに、 一向に効かないからもっといい漢方薬が欲しいという要求に、濃度は二分の一だが効力の点では長年信頼している某メーカーの猪苓湯エキス製剤を試してもらったところ、速やかな効果を得ている事実をどう解釈すべきだろうか?
このような不思議な問題が生じかねないのが自然の天産物を原料とする漢方薬の宿命であるのかもしれません。
それゆえ、村田漢方堂薬局では常に長年使用してきて信頼のおけるメーカーのみを使用し、あるいは適宜、ご相談者の体質により相応しい優れた品質の猪苓湯製剤や六味丸系列の方剤をアドバイスできる体制を整えているわけです。